大阪地方裁判所岸和田支部 昭和40年(手ワ)7号 判決 1965年4月13日
原告 東洋敷物株式会社
右代表者代表取締役 北山真吉
右訴訟代理人弁護士 中村健太郎
被告 三英織物株式会社
右代表者代表取締役 三宅保太郎
主文
被告は原告に対し金七十四万八百一円及びこれに対する昭和四十年三月五日より完済に至るまで年六分の割合による金員を支払うべし。
訴訟費用は被告の負担とする。
この判決は仮に執行することができる。
事実
原告訴訟代理人は主文同旨の判決を求めその請求原因として、
一、被告は昭和三十九年十一月十四日原告に宛てて金額七十四万八百一円、満期同四十年三月五日、振出地岸和田市、支払地和泉市、支払場所泉州銀行和泉支店なる約束手形一通を振出した。
二、原告は右手形の所持人となったので右手形の満期の翌日にこれを支払場所に呈示して手形金の支払を求めたがその支払を拒絶された。
三、よって右手形金七十四万八百一円及びこれに対する満期以降の手形法所定の利息の支払を求めるため手形訴訟による請求に及ぶ
と述べ
被告の抗弁に対し被告主張の会社整理申立及び債務弁済禁止決定のあったことは認めるが右決定は本訴請求の妨げとなるものではないと主張した。
被告代表者が陳述したものとみなした答弁書によると、
一、原告主張の事実は認めるが被告は原告主張の手形を振出した後経営が苦しくなり右手形の決済等も困難な状態になったため昭和四十年二月大阪地方裁判所に会社整理の申立をなした結果同庁昭和四〇年(モ)第四〇号をもって同年二月二十六日付にて裁判所の許可を得た場合を除き同年二月二十五日以前の原因に基づいて生じた一切の債務の弁済を禁止する旨の決定がなされた。
二、そのため原告主張の手形についても期日に決済することができなかった次第であり被告としては右整理手続において能う限りの努力を払い債権者の協力を得て一日も早く債務を完済したいと計画しているものであるから原告も右手続に協力されたい旨記載されている。
理由
一、原告主張の事実は被告の認ところである。
二、よって被告の抗弁について案ずるに被告主張の会社整理申立及び債務弁済禁止決定がなされていることは原告においてもこれを認めているところであるが右債務弁済禁止決定は右会社整理申立があったためその保全処分としてなされたものであり右保全処分による弁済禁止は整理申立人たる被告に対し債務を任意に弁済することを禁じているだけで債権者たる原告に対して右手形債権の取立を禁止しているものではないから原告が右債務の支払を求め得ることは当然である、よって右抗弁は理由がない。
三、そうすると被告は右手形の振出人としてその所持人たる原告に対し右手形金及び満期以後の手形法所定の年六分の利息金を支払うべき義務を有するものである。
四、よって原告の本訴請求を相当として認容し民事訴訟法第八十九条、第百九十六条を適用して主文のとおりに判決する。
(裁判官 永井米蔵)